新しくお店を開く際、「スケルトン物件」と「居抜き物件」のどちらを選ぶかは、開業費用に大きな差を生む重要なポイントです。特に内装工事費用については、物件の状態によって数百万円単位の差が出ることも珍しくありません。本記事では、「居抜き物件を選ぶと、内装工事費は実際どのくらい安くなるのか?」という疑問に対して、実例や考慮すべきポイントも交えながら解説していきます。そもそも「居抜き物件」とは?居抜き物件とは、前のテナントが使用していた内装や設備がある程度残された状態の物件を指します。たとえば、以下のような設備がそのまま使えることがあります:天井や床、壁の仕上げ空調設備(エアコンなど)トイレ・洗面所などの水回り給排水・ガス・電気などのインフラ配管厨房設備や什器(飲食店の場合)照明器具、レジカウンターなどこれに対して、スケルトン物件は全ての内装が撤去された状態で、コンクリートの打ちっぱなしや構造体だけが残っている、いわば「真っさら」な状態です。居抜き物件のメリット:内装工事費が大幅削減居抜き物件を選んだ場合、内装工事費は30〜70%程度安くなることがあります。特に次のような要素が残っていれば、その分の施工が不要になるため、コストカットにつながります。【ケース1】飲食店の例スケルトン:初期工事費用 800〜1,200万円居抜き:初期工事費用 300〜700万円厨房設備、排気ダクト、グリストラップ、エアコン、水回り、座席・テーブルなどが残っていれば、それを再利用することで500万円以上のコスト削減が可能なこともあります。【ケース2】美容室の例スケルトン:500〜1,000万円居抜き:200〜600万円シャンプー台やカットブース、照明やエアコンがそのまま使用できる場合、400万円以上の節約が可能です。【ケース3】事務所・オフィスの例スケルトン:300〜600万円居抜き:100〜300万円パーティション、照明、エアコン、LAN配線などが残っていれば、そのまま使用するだけで済み、短期間での開業も実現できます。どこまで使えるかがカギ:現状確認の重要性ただし、居抜き物件なら必ず安くなるとは限りません。大切なのは、「残っている設備や内装がどれだけ自分の業態やレイアウトに合うか」ということです。再利用できない場合のリスク設備が古く、動作しないレイアウトが合わず解体→再施工が必要消防法や保健所の基準に適合しないデザインが時代遅れで印象が悪いこうした場合、一度解体して新たに作り直す必要があるため、かえって費用がかさむこともあります。特に、前テナントが安価な材料で造作していた場合、リメイクではなく「一からやり直し」になることも。居抜き物件で内装費を安く済ませるためのポイント1. 事前の現地調査をしっかりと内装工事の見積もりを出す前に、信頼できる施工業者とともに現地調査を行いましょう。特に以下の点をチェックすることが重要です:残された設備の動作確認(電源・ガス・水回り)厨房機器やエアコンの寿命や型番配線・配管ルートの確認解体費がかかる部分の有無2. デザインを活かす工夫全面リニューアルではなく、「リペア+ポイントリフォーム」という形でコストを抑えるのも一つの手です。天井や壁の塗り替え床材の貼り替えだけ看板や照明の変更こうした低コストの演出で、印象をガラッと変えることも可能です。3. 残置物の扱いに注意居抜き物件には前テナントの残置物が多く残っている場合があります。その取り扱いには注意が必要です。契約前に「使用権限があるか」確認必要のないものは誰が処分するのか明確化処分費用が発生する場合は事前に見積もり取得居抜き+リノベーションで「低コスト×高デザイン」を実現最近では、居抜き物件を活用しつつ、部分的に手を加えて“雰囲気のある店”を演出する店舗も増えています。いわゆる「リノベーション居抜き」型です。古民家風の店舗レトロ喫茶を活かしたカフェ倉庫風内装のままおしゃれに演出こうした場合、もともとの素材や構造を活かすことで工事費用を削減しつつ、差別化された店舗空間をつくることができます。まとめ:居抜き物件の活用で初期投資を抑える居抜き物件を上手に活用すれば、内装工事費はスケルトンと比較して30〜70%以上のコストダウンが可能になります。ただし、物件選定や現地調査、内装業者との連携が重要であり、「安いから」「おしゃれだから」と安易に飛びつくのは禁物です。以下のポイントを押さえておくと安心です:現状設備が使えるか、修繕費がかからないか自身の業種とレイアウトが合うか解体・撤去費用が別途発生しないか法令や衛生基準に適合しているか長期的な経営を見据えて、「初期コストを抑えながらも使いやすい物件」を選びましょう。もし「居抜き物件を探しているが、どこを見ればよいかわからない」「工事の見積もりの見方がわからない」という方は、内装工事のプロによる無料相談も行っていますので、お気軽にお問い合わせください。理想の店舗づくりは、最初の一歩=物件選びから始まります!